東京新聞 2018年9月16日 朝刊

 中国・新疆ウイグル自治区のウイグル族などイスラム教少数民族に対する中国政府の弾圧に絡み、地元政府が設置した再教育施設に収容された人は百万人とも三百万人とも言われる。東京都内に住む三十代のウイグル族男性も昨年前半から妻が行方不明で「どこで何をしているのかまったく情報がなく心配だ」と焦りを募らせている。

 男性によると、妻は新疆から日本に行こうとする直前に連絡が途絶えた。妻が再教育施設に収容されたという通知はない。しかし「施設に入れられたのでなければ、連絡くらいしてくるはずだ」。自分の周りにはほかにも行方不明になった知人らがおり、妻は施設に連れ去られたと確信している。

 妻は政治活動に関わったこともなく、収容される理由は思いつかない。あるとすれば「夫である私が日本にいることくらい」だ。施設から出られるには五~六年かかるといううわさも聞いた。手掛かりを得るために現地の家族に電話をかけたいが、盗聴されるのは確実で「危険すぎて電話もできない」という。

 一年半ほど前、新疆に戻った時、以前あった小学校や中学校が改修され、銃を手にした軍人が警戒に当たっていた。男性はこれが再教育施設として使われているとみている。
 日本ウイグル協会のイリハム・マハムティ代表によると、親が再教育施設に収容された場合、子供は孤児院に入れられ、漢族に登録し直されるという。「中国政府はウイグル族を消滅させたいのか」と憤る。

 ウイグル族に対する締め付け強化は、チベット自治区でチベット族弾圧を進めた陳全国(ちんぜんこく)氏が、二〇一六年に新疆ウイグル自治区トップに就任して以来、顕著になった。再教育施設を設置したほか、住民からDNAサンプルや指紋、眼球の虹彩などの生体認証の情報を収集しているとされる。

 八月にスイス・ジュネーブの国連人種差別撤廃委員会で、米人権活動家らが「新疆で百万人以上が再教育施設に収容されている」と指摘。中国政府は「完全な虚偽」と否定している。


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