2017.10.26 11:00 産経ニュース

 「中国共産党大会の期間中、世界165カ国、452の主要政党から祝電をいただいた」
 北京の人民大会堂で記者会見に臨んだ習近平総書記(国家主席)は、世界の中心に共産党があると言わんばかりに上機嫌だった。
 習氏は党大会で行った政治報告で、1949年の建国から100年を迎える今世紀半ばまでに、さらなる経済発展で「世界一流の軍隊」建設を目指す「強国路線」を重ねて強調した。
 冷戦終結から四半世紀。米国1極の世界秩序に対抗して、米国と比肩、あるいは米国を凌駕(りょうが)する国力を中国が備えるという“覇権宣言”だったといえる。
 習氏の視線の先には、11月8日に初訪中するトランプ米大統領の存在がある。だが、強硬姿勢ばかりではない。習氏は25日、別のシグナルをトランプ氏に送っている。
 楊潔●国務委員を政治局員に昇格させたことだ。外交トップが政治局入りするのは銭其▲元副首相以来で約15年ぶり。楊氏は駐米大使や外相を歴任し、米国、特に共和党とのパイプが太いことで知られる。

 さらに今回、知米派の汪洋副首相も政治局常務委員に昇格させた。汪・楊の2枚のカードを切ることで対米外交強化、対米関係重視の姿勢を打ち出した形だ。
 トランプ氏は25日、習氏と電話会談を行い、習氏の総書記再選と党大会の成功に祝意を示した。
 トランプ政権は北朝鮮核問題の解決に向け、党大会を終えた習指導部にさらなる協力を求めるとみられるが、習氏は「強国路線」の容認か黙認を求めるギリギリの対米外交交渉を繰り広げることになる。
 交渉相手が中国の基本的な主張さえ認めれば、一定の譲歩と協調姿勢をみせるのが中国のスタイルだ。北朝鮮問題で「対米協調」を演じてみせ、「強国路線」を進める戦術とみられる。
 まだまだ経済力や軍事力で米国に劣る中国としては、「強国路線」を声高にアピールしながらも、裏で米中衝突を避けるための外交努力を続けるほかない。それが2期目の習外交の基本路線である。

 ■「対日恫喝」再考は

 「安倍は賭けに勝った」。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は23日付の社説で、中国は自公両党が衆院選で大勝した現実に向き合わなければならないと警鐘を鳴らした。
 1期目の習近平指導部は、自国の意に反する周辺国に経済力や軍事力を背景とした露骨な圧力を加え、時に奏功してきた。
 恫喝(どうかつ)外交である。
 日本に対しても、公船の尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海侵入を常態化させ、軍艦や軍用機の宮古海峡通過を繰り返し、「日本側が慣れればよいだけだ」(国防省報道官)と言い放つ。
 さらに2015年以降、スパイ行為に関わったなどとして、容疑すら明らかにしないまま中国当局が拘束した日本人は12人に上り、現在も8人を拘束中だ。
 しかし恫喝外交を繰り広げても、日本の世論が中国側になびく兆しは一向になく、警戒感が強まる一方である。しかも安倍政権は長期化する可能性が高い。
 2期目の習指導部は、冒頭の環球時報が説くように対日政策の再考を迫られているのが実情だといえる。
 ただ、北京の政治研究者は、日中間の経済力の差が広がり続ける中、「中国にとって日本の重要度が下がり、明らかに日本への配慮がなくなってきている」と述べて、こう指摘する。
 「今後の日中関係が対等なものになるのか心配だ」
 2期目の習指導部は日本に対し、東シナ海の支配拡大に向けて「強国路線」を突き進みかねない。


 25日に発足した2期目の習指導部の野望に迫る。
●=簾の广を厂に、兼を虎に
▲=王へんに深のつくり


http://www.sankei.com/world/news/171026/wor1710260023-n1.html