東京新聞 2017年7月19日 朝刊

 【カイロ=奥田哲平】エジプトで七月に入り、中国西部・新疆ウイグル自治区出身の留学生らが治安当局に相次いで拘束されている。イスラム教徒が多いウイグル族への締め付けを強める中国政府の要請を受けた措置とみられ、一部が強制送還された。国際的な人権団体は、帰国すれば迫害の恐れがあるとして、送還しないようエジプト政府に求めている。

 中東メディアや六日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、少なくとも十二人が送還され、二十人以上が拘束された。一部は事前にトルコに避難した。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」も、多くの学生が「理由もなく一斉に拘束され、弁護士や家族との接見も認められていない」と批判した。

 学生の一部は、カイロにあるイスラム教スンニ派の最高権威機関アズハルで学んでいた。中国はイスラム過激派のテロ対策の一環で、政治活動への関与などを検査するために五月二十日までに帰国するよう留学生に命じていたが、迫害を恐れてとどまっていたとみられる。

 ウイグル人学生(30)は本紙の取材に、七月五日にアズハルで学んでいた知人(35)宅に警察が押し入り、連行されたと明かした。「合法的に滞在していたのに、理由が分からない。拘束されたのは一部で、地方政府が対象を選別しているのではないか」と不安がった。

 アズハル近くのウイグル料理店では六日、警察が「学生客や店主ら二十人近くをバスで連行していった」(近所の住民)という。一方、地元メディアによると、アズハルは学生二十人が一時拘束されたが、身分確認後に解放されたとして「報道は不正確だ」とコメント。警察は、国籍を問わず外国人の滞在許可を調べる通常の捜査としている。

 ウイグル族の大多数はイスラム教徒で、分離独立を求める一部の過激派が、イラクやシリアの過激派組織「イスラム国」(IS)支配領域に渡ったとされる。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201707/CK2017071902000112.html